採用ブランディング ピックアップ 公開日:2024/04/17 更新日:2024/04/16

中途採用比率の公表義務とは?罰則はある?人事が対応しなければいけないポイント

中途採用比率の公表義務とは、企業が特定の期間に新しく雇用した従業員のうち、中途採用者が占める割合を表す指標を公表することが義務付けられていること指します。 当記事では、中途採用比率を公表することのメリット、実際の成功事例や、中途採用比率の公表の簡単な導入方法について、お伝えします。


中途採用比率とは?

中途採用比率の定義

中途採用比率は、企業が特定の期間に新しく雇用した従業員のうち、中途採用者が占める割合を表す指標です。この比率を計算することにより、企業が新たな人材を既に職場経験を持つ人々から獲得しているのかを把握することができます。具体的には、ある期間内に採用された全従業員の数に対して、その中で中途入社した人数の割合をパーセンテージで示します。たとえば、一年間に100人を採用し、そのうち40人が中途採用であった場合、中途採用比率は40%となります。

この比率が高いということは、企業が経験豊富な労働力を積極的に採用していることを示しており、特に専門的なスキルや即戦力が必要な場面で役立つことが多いです。逆に、比率が低い場合は、新卒採用に重点を置いているか、あるいは内部昇進や育成に力を入れていることが考えられます。中途採用比率は、企業の人材戦略や成長段階、業界の特性に応じて変動します。そのため、この指標は経営者や人事担当者にとって、戦略的な意思決定を行う上で重要な情報の一つとなるのです。

従業員が301人以上いる企業を対象に、2021年4月から中途採用比率の公表が義務化されている

2021年4月から、従業員が301人以上の企業に対して中途採用比率の公表が義務化されました。この措置は、企業の採用活動の透明性を高めることを目的としています。公表することによって、企業がどの程度多様な採用手法を取り入れているか、または特定の採用方針に偏りがないかを外部から評価しやすくなります。具体的には、企業は年度ごとにその年間の採用状況、特に新卒と中途の採用数の内訳を明らかにする必要があります。これにより、求職者は自分が応募を考えている企業の採用実態を理解しやすくなり、キャリアプランニングに役立てることができます。

さらに、この義務化は企業にとっても内部の人事戦略を見直す良い機会を提供します。自社の採用プロセスがどのように機能しているか、またどのような改善が可能かを評価する基準となるため、より効果的な人材確保へとつながることが期待されています。企業が採用活動において透明性を確保することは、社会全体の労働市場の健全性を促進する上で重要な役割を担っており、中途採用比率の公表はその一環として位置づけられています。

中途採用比率を公表しなかった場合

中途採用比率を公表しなかった場合でも罰則はない

中途採用比率の公表が義務化されているものの、企業がこれを公表しなかった場合、現行の法律では具体的な罰則が設けられていません。この規定の主な目的は、採用プロセスの透明性を向上させることにあり、企業に自己申告を促すことで、自主的な改善と公正な情報開示を奨励しています。罰則がないことにより、企業は法的な制裁の恐れなく、実情に応じた報告を行うことができますが、これが逆に公表を怠る動機になることも考えられます。

そのため、公表を怠った企業に対する直接的な法的制裁はなくても、その事実が明らかになれば、企業のブランドイメージや採用市場での評価に悪影響を与える可能性があります。投資家や求職者、消費者は透明性の高い企業を好む傾向にあるため、公表を怠ることは間接的な影響として、信頼性の低下や人材獲得の機会損失を招くかもしれません。結局のところ、中途採用比率の公表は、社会的責任と倫理的実践を示すための重要な手段と見なされており、企業がこの責任を果たすことは、長期的な信頼構築に寄与すると言えるでしょう。

今後は求職者からネガティブにみられてしまうおそれも

中途採用比率の公表を怠ることは、求職者からネガティブに見られるリスクを伴います。現代の求職者は単に職を得るだけでなく、企業の文化や価値観にも注目しており、採用プロセスの透明性はそれを判断する重要な指標となっています。中途採用比率を公表することは、企業が公平性と透明性を重視していることを示し、また多様な経験やスキルを持つ人材を評価していることの証となります。これを怠ることで、企業が情報を隠しているのではないか、または公正な採用を行っていないのではないかという疑念を持たれることがあります。

このような印象は、特にプロフェッショナルや高度な技能を持つ人材の間で、企業の評判に悪影響を与える可能性があります。彼らはキャリアの発展可能性と企業の倫理観を高く評価し、その基準に基づいて職場を選びます。したがって、透明性の欠如は企業が魅力的な雇用先として見られる機会を損なうかもしれません。長期的には、優秀な人材が競合他社やより開かれた情報提供を行う企業に流れる結果となり、企業の成長と競争力にも影響を及ぼすことが予想されます。透明性を確保することは、企業が持続可能で信頼される組織であることをアピールし、幅広い人材からの関心を集めるために不可欠です。

中途採用比率を公表することのメリット

中途採用への積極性をPRできる

中途採用比率の公表は、企業が中途採用に積極的である姿勢を示す重要なPR戦略です。この比率が高いと公表することで、企業が経験豊富な即戦力を求めているというメッセージが明確に伝わります。特に専門技能や特定の業界経験が求められる職種で、この情報は求職者にとって非常に魅力的に映るでしょう。多くの中途採用者を迎える企業は、新しいアイデアや異なる業界からのベストプラクティスを積極的に取り入れ、その過程で革新的で成長志向の文化を築いていることが伝わります。

中途採用比率の公表はただの数字以上の意味を持ちます。それは企業がどれだけ外部の人材に対して開かれているか、そして多様な経験と知識を企業文化にどう組み込んでいるかを示すバロメーターとなります。この透明性は、企業のブランドイメージを向上させるとともに、戦略的な人材獲得において大きな利点となります。具体的には、質の高い人材が企業の価値観や目指す方向性に共感しやすくなり、企業としてもより適合する人材を引き寄せることができるのです。

求職者に職場の環境を想像してもらいやすくなる

中途採用比率の公表は、求職者が企業の職場環境を具体的に理解し、イメージしやすくするメリットを提供します。この比率が高いと、企業が多様なバックグラウンドを持つ経験豊富な人材を積極的に受け入れていることを示し、そうした環境が新たな従業員にとって多くの成長の場を提供することが期待されます。特に、異なる業界や会社からの新しいアイデアやアプローチを取り入れることは、創造的でダイナミックな職場文化の形成に寄与しています。

この情報は求職者にとって、職場の雰囲気やチーム構成を事前に把握し、自身の職業的な目標や価値観との適合性を評価するための重要な手がかりとなります。経験豊富な人材が多く在籍している職場は、キャリアアップやスキル向上の機会が豊富にあることを想像させるため、求職者の職場選びにおいて、より明確な判断基準を提供します。このように中途採用比率を公開することにより、企業は自社の魅力を正確に伝え、求職者に適した環境を提示することが可能となり、最終的には企業と求職者双方にとって最適なマッチングを促進することができます。

中途採用比率の公表の流れ

中途採用比率の計算方法

中途採用比率の計算方法は、企業がどれだけの割合で経験者を採用しているかを示す指標として使用されます。具体的な計算式は次の通りです。まず、一定期間内における正規雇用の中で、新たに中途採用された従業員の数を数えます。これが中途採用数になります。次に、同じ期間内の全正規雇用の採用数(新卒採用と中途採用の合計)を確認します。これらの数値を用いて、中途採用比率は「中途採用数÷全採用数×100」の式に従って計算されます。この結果はパーセンテージで表示され、企業がどれだけ中途採用に依存しているかを示します。

たとえば、企業が一年間に100人を正規雇用で採用し、そのうち60人が中途採用だった場合、中途採用比率は(60÷100)×100 = 60%となります。この比率が高ければ高いほど、その企業が経験豊かな人材を積極的に採用していることを意味し、特に技術や専門知識が求められる業界での競争力の維持に貢献していると考えられます。

この比率を公表することは、企業が透明性を持って人材獲得に取り組んでいることを外部に示す手段となり、信頼の構築やより質の高い人材の引き寄せに繋がります。また、求職者にとっては、企業がどれだけキャリアアップの機会を提供しているか、または多様な経験を評価しているかが分かるため、職場選びの一助となるでしょう。

インターネット上での掲載など、求職者が情報にアクセスしやすい方法で公表する

中途採用比率の公表は、求職者が容易にアクセスできるインターネットを通じて行われることが一般的です。多くの企業は自社の公式ウェブサイトに採用情報のセクションを設け、中途採用比率を含む最新のデータを公開しています。また、求人ポータルサイト、業界フォーラム、ソーシャルメディアなど複数のプラットフォームを利用することで、幅広い潜在的応募者に情報を届けることが可能です。

この公表方法は、透明性と利便性を重視する現代の求職者にとって理想的であり、企業がオープンな姿勢をアピールする機会となります。インターネットを利用することでリアルタイムで情報を更新し、どこからでもアクセス可能な環境を提供します。これにより、企業は採用ブランドを強化し、求職者の信頼を得ることができ、最終的には質の高い人材の獲得につながります。このような公開プロセスは、企業と求職者の相互理解を深め、適切なマッチングを促す有効な手段です。

採用を行った直近3年間の中途採用比率を公表する

企業が直近3年間の中途採用比率を公表する際、その期間中に採用活動が行われなかった年がある場合、それを明確に表記することが重要です。この透明な報告は、企業が特定の年になぜ採用を行わなかったのかについての理解を深め、企業の運営状況や戦略的な決定を外部の利害関係者に正確に伝える役割を果たします。例えば、経済的な理由、組織の再構築、あるいは内部昇進による人材の充足など、採用活動を行わなかった具体的な理由を示すことが可能です。

採用がなかった年を公表することで、企業はその年の人事戦略がどのように進行したかを透明にし、企業が直面している課題や成長の段階を反映します。この情報は求職者にとっても有益であり、企業が安定しているか、または特定の変動期にあるのかを理解するのに役立ちます。また、採用が行われなかった事実を公表することは、企業が公平で誠実なコミュニケーションを重視しているというポジティブな印象を与えることができるため、企業の信頼性と評価を高めることにも繋がります。

まとめ

中途採用比率の公表は企業の透明性を向上させる一方で、求職者がこの指標をどれほど重視しているかについては、まだ明確なデータがありません。一部では、高い中途採用比率が企業内での定着率が低い可能性を示唆し、その結果として負の印象を与えかねないとの懸念も存在します。そのため、中途採用比率の公表だけでなく、採用後の定着率などの追加情報も同時に公開することが求められています。これにより、企業の人材管理の全体像が明らかになり、求職者やその他の関係者がより包括的な判断を下すための参考情報が提供されます。

このような総合的な情報提供は、企業にとっては追加的な労力を要するものの、長期的には信頼性とブランド価値の向上に繋がります。透明なコミュニケーションは、企業が直面する可能性のある誤解を防ぎ、より良い人材の獲得と定着に役立つことから、労働市場全体の健全性を支える重要な役割を果たします。企業がこれらの情報を適切に管理し、公開することで、求職者は自らのキャリアの展望を考える上で、より情報に基づいた決定を行うことができるようになります。


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筆者:ナンバーズ株式会社

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