リクルーティング ピックアップ 公開日:2024/04/09 更新日:2024/04/09

「アットホーム」というだけで学生から敬遠される?自社の社風を伝えるためには

社風とは、企業が持つ独特の価値観、慣習、振る舞いのパターンを指します。当記事では、社風を明確に言語化することのメリット、実際の成功事例や、社風の言語化の簡単な導入方法について、お伝えします。

「社風」とは何か?

社風とは、企業が持つ独特の価値観、慣習、振る舞いのパターンを指します。これはその企業で働く人々の間で共有され、新しいメンバーがその文化に溶け込むことで形成されます。社風は企業の決定、対外的なコミュニケーション、従業員のやりがいや職場の雰囲気に大きく影響し、結果として企業の成功や従業員の満足度に直結します。正確に理解し、育成することは、組織の目標達成と個人の成長の両方を促進する鍵となります。

部署や拠点それぞれに社風がある

社風は一言で言えば、企業の「個性」ですが、これが全社一律であると考えるのは誤解です。実際には、企業全体の価値観や慣習が基盤となるものの、各部署や拠点ごとに独自の文化が形成されることがあります。たとえば、営業部門は成果を重視し、競争が激しい環境かもしれませんが、研究開発部門では長期的な視点と創造性が求められることが多いです。

また、国や地域によっても社風は異なり、同じ企業内でも海外拠点では全く異なる働き方やコミュニケーションスタイルが見られることがあります。このように、社風は企業の多様性を反映し、それぞれの部署や拠点が抱える独自の課題や目標に適応する形で進化します。

人事担当者や採用担当者は、この多様性を理解し、候補者が最も活躍できる環境を見極めることが重要です。そうすることで、従業員がその能力を最大限に発揮し、企業全体の成長に貢献することができます。この多面的な社風の理解は、組織が健全に機能するために重要となります。

社風を構成する要素

社風は企業の個性を形作る重要な要素であり、その根底には経営理念、業務の進め方、教育研修制度があります。経営理念は企業の心臓部と言えるもので、企業の存在理由や目指すべき目標、価値観を定義します。これにより、従業員に共通の理解と方向性を提供し、意思決定の際の指針となります。企業の理念は、外部に対しても企業の姿勢を示すことで、顧客やパートナーとの信頼関係構築にも寄与します。

業務の進め方は、企業内での意思決定やタスク管理のスタイルを反映しています。トップダウンアプローチでは、経営層が方針を決定し、それが階層を通じて伝達されます。この方法は迅速な決定が可能であり、組織全体の方向性を一貫させることができますが、一方で現場の意見が上層部に届きにくいという欠点もあります。ボトムアップアプローチでは、現場のアイデアやフィードバックが積極的に取り入れられ、意思決定に反映されます。これにより従業員のモチベーションの向上や創造性の促進が期待できますが、意思決定に時間がかかることがあります。

教育研修制度は、従業員のスキル開発とキャリア成長を支えるための枠組みです。これには新入社員研修、職能別研修、リーダーシップ開発プログラムなどが含まれ、従業員が必要とする知識やスキルを習得し、長期的なキャリアパスを描けるよう支援します。教育研修制度が充実している企業は、従業員が自己実現を図りやすい環境を提供しており、結果として従業員の満足度や企業へのロイヤルティの向上に繋がります。

これらの要素は互いに影響し合い、企業の社風を形成します。経営理念は方向性を示し、業務の進め方はその理念を実現するプロセスを定め、教育研修制度は従業員がそのプロセスに沿って最大限のパフォーマンスを発揮するためのサポートを提供します。企業の社風を理解し、それに適した人材を採用し、育成することは、組織の持続的な成功に不可欠です。人事担当者はこれらの要素を深く理解し、それを踏まえた上で、適切な人材戦略を立案・実行する必要があります。

自社の社風を定義する

日常の小さなところに社風は現れている

自社の社風を正確に把握し定義するには、日常の様々なシーンで現れる細かな行動や習慣に着目することが欠かせません。例えば、社員が朝会社に到着した際の挨拶の仕方、会議での意見交換が活発かどうか、困っている同僚に対して手を差し伸べる文化があるかなど、これら一つ一つの行動が集まって社風を形成します。

また、オフィスのレイアウトや装飾からも社風のヒントを得られることがあります。例えば、オープンスペースが多いか、個室で仕事をする文化があるかなど、物理的な環境もコミュニケーションの取り方や仕事の進め方に影響を与え、結果的に社風を形成する要因となります。社風は従業員の行動様式や価値観の反映であり、これらを観察することで、自社がどのような価値を大切にしているか、どういった環境で従業員が最も活躍できるかを理解することができます。

この理解は、社風に合った人材を採用し、育成するうえで非常に重要です。日々の業務の中で自然と現れる行動や習慣を注意深く観察し、それを通じて社風を定義することで、より効果的な人事戦略を立てることが可能になります。

「アットホーム」など、抽象的な言葉での定義はイメージをあいまいにしてしまう

自社の社風を定義する際に抽象的な言葉を用いると、そのイメージがあいまいになりがちです。とくに「アットホームな社風」という表現は、その典型例と言えます。このような言葉は感じ方が主観的であり、人によって解釈が大きく異なるため、具体的なイメージを共有するのが難しくなります。例えば、ある人にとっての「アットホーム」は、オフィスがリラックスできる空間であることを意味し、別の人には社員同士の距離が近く、親しみやすい関係性を指すかもしれません。

そのため、社風を言葉で表す際は、可能な限り具体的な例や行動、習慣に言及することが重要です。例えば、「アットホームな社風」と言う代わりに、「社員同士がお互いの誕生日を覚えており、ランチに一緒に行くことが多い」や「定期的に社員全員でのミーティングを開き、業務だけでなくプライベートな話題も共有する」などの具体的な行動を挙げると、社風の理解が深まります。

このように具体的な描写をすることで、社風の実態が明確になり、外部の人材が自社の文化をより正確に理解する手助けにもなります。社風を的確に伝えることは、適切な人材の採用にとって不可欠であり、抽象的な表現を避け、具体的な例を用いることが効果的なアプローチと言えます。

一般的にあまり好まれない社風とは

従業員のプライベートに介入する

一般的に、従業員のプライベートに介入する社風は好まれません。この主な理由は、従業員の個人の自由やプライバシーへの尊重が現代社会における基本的な価値観とされているからです。プライベートに踏み込むことは、従業員が自分の時間を自由に使う権利を侵害することになり、これがストレスや不満に繋がる可能性があります。また、プライバシーの侵害は信頼関係の損失にも繋がります。従業員と雇用者の間には相互の信頼が不可欠ですが、プライベートな領域に無断で介入することは、その信頼を著しく損なう行為と見なされるためです。

さらに、プライベートへの過度な介入は、従業員のワークライフバランスを崩す要因にもなります。仕事と私生活のバランスを保つことは、従業員の満足度や仕事の効率性を高める上で重要です。個人の時間が尊重されない文化では、疲労やバーンアウトが生じやすくなり、結果的に企業の生産性や従業員の健康に悪影響を及ぼすことになります。

従業員のプライベートへの過度な関与は、企業の魅力を損ね、優秀な人材の獲得や維持が難しくなることもあります。職場環境は多くの場合、求職者が職場を選ぶ際の重要な要因です。自由とプライバシーを重視する人材にとっては、このような社風は避けられるべきものと見なされます。従って、従業員のプライベートに介入しない文化を築くことは、組織全体の健全性と競争力を維持する上で非常に重要なのです。

意見や発言が通らず、裁量が与えられない

従業員の意見や発言が通らず、裁量が与えられないということも一般的に好まれない社風として挙げられます。この理由は主に、従業員が自身の能力を十分に発揮できないと感じることにあります。従業員が意見を述べる機会が限られており、意思決定プロセスに参加できない場合、その結果として創造性やイノベーションの欠如が生じることがあります。このような環境は、従業員のモチベーションの低下にも繋がります。

また、裁量が与えられないことは、従業員の自律性と成長の機会を制限します。従業員が自らの仕事に対して一定のコントロールを持つことは、職務満足度や業務へのコミットメントを高める重要な要素です。裁量を与えることにより、従業員は新しい挑戦を試み、スキルを向上させる機会を得ることができます。反対に、裁量がない環境では、従業員は仕事を単なる指示の実行と捉え、自己成長やキャリア発展を困難に感じることがあります。

さらに、従業員の声が聞かれず、裁量が与えられない文化は、組織全体の適応性と柔軟性を損なうことにもなります。市場や技術の変化に迅速に対応するには、現場からのフィードバックと自発的な改善が不可欠です。このような環境がないと、組織は外部環境の変化に適応する能力を欠き、長期的な成功を確保することが難しくなります。

はたらき方の管理が不十分

一般的に好まれない社風の一つとして、労働方法の管理が不十分であることが挙げられます。この状況では、従業員は仕事の目標や期待される成果が不明確であるため、何をすべきか、どのように進めるべきかを判断しにくくなります。このような不透明な指導の下では、従業員は自分の努力が正しく評価されているのか疑問に思い、モチベーションの低下を招く可能性があります。

加えて、はたらき方の管理が不十分な環境では、業務過多や不公平な業務配分が生じやすく、ワークライフバランスの乱れにつながります。適切な業務管理が行われていないと、一部の従業員が過度の負担を背負うことになり、ストレスや燃え尽き症候群(バーンアウト)のリスクが高まります。これは、従業員の健康問題だけでなく、企業全体の生産性にも悪影響を及ぼします。

さらに、業務管理の不備は、従業員間のコミュニケーション不足や協力体制の欠如を引き起こすこともあります。チーム内で明確な役割分担や責任の範囲が定められていないと、仕事の進行において混乱が生じ、プロジェクトの遅延や品質の低下につながることがあります。

効果的なはたらき方の管理は、従業員が安心して仕事に取り組める環境を提供し、個々の能力を最大限に引き出すために不可欠です。透明性の高い目標設定、適切な業務配分、そして健全なワークライフバランスの促進は、従業員満足度を高め、企業文化を向上させる重要な要素となります。

求職者に社風を伝えるための手法

企業説明会


企業説明会の開催は、求職者に対して自社の社風や働き方、ビジョンを直接的かつ包括的に伝えるために適しています。この手法の効果を高めるためには、人事担当者だけではなく、実際に現場で働く先輩社員も参加させることが重要です。先輩社員が自分の仕事体験や企業文化に対する理解、日常の業務でのやり取りなどを共有することで、求職者は会社の雰囲気や実際の仕事内容についてよりリアルなイメージを持つことができます。また、先輩社員からの生の声は、企業が提供する公式な情報以上の説得力を持ち、求職者が自身がその職場にフィットするかどうかを判断するのに役立ちます。

さらに、説明会では、Q&Aセッションを通じて求職者からの直接的な質問に答える機会も提供されます。これにより、双方向のコミュニケーションが促進され、求職者は自分の疑問や懸念をクリアにすることができます。企業側も、求職者の関心事や期待について理解を深めることができるため、より適切な人材を見極めることに繋がります。

企業説明会において、人事と現場の社員が一緒になって企業文化や働き方を説明することは、企業として一体感を求職者に伝える効果的な手段です。これにより、企業は自身の魅力をより正確に、かつ魅力的に伝えることができ、求職者が入社後に感じるギャップを最小限に抑えることが可能になります。

自社サイトやSNS

自社サイトやSNSを活用することは、求職者に対して社風を効果的に伝える手法として非常に適しています。これらのプラットフォームは、企業がコントロールできる公式のチャネルであり、ブランドイメージや企業文化を一貫して伝えることが可能です。自社サイトでは、ミッションステートメント、バリュー、企業の歴史などの基本情報に加えて、従業員の声やオフィスの日常を紹介することで、働く環境のリアルなイメージを提供できます。

SNSを利用する場合、定期的な投稿を通じて、社内イベントやチームビルディングの様子、従業員が参加する社会貢献活動など、よりカジュアルで人間的な側面を見せることができます。これにより、求職者は企業が公式に発表する情報だけでなく、より身近で日常的な企業の様子を知ることができ、社風に対する具体的な理解を深めることができます。

また、自社サイトやSNSはインタラクティブなコミュニケーションを可能にします。コメントやメッセージ機能を通じて、求職者からの質問に直接回答することができるため、よりパーソナライズされた情報提供が可能になります。このような双方向のやり取りは、求職者との関係構築に役立ち、企業に対する好印象を深めることができます。

さらに、自社サイトやSNSの活用はコスト効率も良く、幅広い層の求職者にリーチすることが可能です。特に若年層の求職者にとっては、SNSは情報収集の主要な手段であるため、企業が積極的に情報発信することで、魅力的な雇用主としてのイメージを構築することができます。

職場見学やインターンシップ

職場見学やインターンシップは、求職者に対して社風を直接体験してもらうための非常に効果的な手法です。職場見学では、求職者が実際のオフィス環境を目にし、社員の働く様子や職場の雰囲気を直接観察することができます。これにより、企業の公式な説明やウェブサイト上の情報だけでは得られない、生の企業文化や社風を肌で感じ取ることが可能になります。

インターンシップは、さらに一歩進んで、求職者が実際に仕事を体験し、チームメンバーとのやり取りやプロジェクトへの参加を通じて、企業文化を深く理解する機会を提供します。実際に業務に携わることで、仕事の進め方、職場内のコミュニケーションのスタイル、上司や同僚との関係性など、企業の働き方の具体的な側面を経験することができます。

これらのプログラムは、求職者が自分自身がその職場にフィットするかどうか、自分のキャリア目標や価値観が企業のそれと一致するかどうかを判断するのに役立ちます。また、企業側にとっても、求職者の仕事に対する姿勢やスキル、チームへの適合性を評価する貴重な機会となります。

職場見学やインターンシップを通じて、求職者と企業が互いに深い理解を得ることができるため、長期的な関係構築に繋がり、最終的にはよりフィットする人材の採用につながります。これらの活動は、双方にとって有益な情報交換の場となり、企業文化への適合性を高める上で重要な役割を果たします。

まとめ

社風は企業の「個性」とも言えるもので、それに良し悪しがあるわけではありませんが、一般的に好まれにくい社風も存在します。例えば、従業員の意見が通りにくい、裁量が限られている、プライベートに介入する、はたらき方の管理が不十分などの特徴を持つ社風は、働く人々にとってストレスの原因となり得ます。

これに対し、社風を効果的に伝える手段としては、企業説明会、自社サイトやSNSの活用、職場見学やインターンシップが挙げられます。企業説明会では人事だけでなく先輩社員も登壇させることで、実際の働き方や社員間のやり取りを見せることができます。自社サイトやSNSを通じては、日常の業務風景や社員の声を伝えることが可能です。職場見学やインターンシップでは、直接職場の雰囲気を体験し、社風のリアルな感触を得ることができます。これらの手法を通じて、企業は自社の社風をより鮮明に伝えることができます。

それでも社風が正確に伝わっているか不安な場合は、外部の専門家に相談するのも良い方法です。専門家は客観的な視点からアドバイスを提供し、伝え方を最適化する手助けをしてくれます。


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筆者:ナンバーズ株式会社

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