人的資本経営で最も重要な観点と実務のプロセス
そこで今回は、社会保険労務士・公認心理師・認定 AI ジェネラリストの松井 勇策先生から、人的資本経営で最も重要な観点と実務のプロセス について、お伝えします。
日本における人的資本経営において
恐らく例外なく全ての企業で重要な育成上の課題として、「ライフステージと個人の特性に応じた活躍」の実現ということがあると言えます。ライフステージとは「人生の時期」を表し、時期ごとのイベントや特性に応じた働き方の課題が日本における働き方の大きな課題だということです。
日本では諸外国よりもこの問題が大きいことが、男女賃金格差の開示が定められた制度趣旨ですし、人的資本経営の制度目的である大きな課題でもあります。これ以外にも、入社してからの時期や中年期、高齢期などのそれぞれの時期の課題が、高度成長期の働き方を引きずっている日本では解決できていないと言われています。
自社で働くひとりひとりの方々が、どのように活躍し得るのか、さまざまな属性別のダイバーシティ・エンゲージメント・スキルや育成や労働慣行においてどのような課題があるか、ということを重要なKPIとして設定し、ライフステージ課題や個性の発揮の実現ということについて、人材戦略や人的資本開示を考えていく必要があると言えます。
もちろん、人的資本経営は各企業において様々な取り組みの角度があると思います。一社一社が全く違う課題を持つからこそ、一律の項目や制度などでは人的資本経営の目的を実現し得ない面が大きく、だからこそ各社において独自の課題設定を行い、人的資本経営を行っていくという制度になっています。しかしながら、特に現代日本においては企業を横断して共通した課題だと言えるテーマがあり、その代表的で中心にある課題が「ライフステージと個人の特性に対応した活躍の実現」だと考えられます。いわゆる「制度開示」、法制度で定められた人的資本の事項は大部分がこの課題に関することであることからもそのことが言えると思います。改めて人的資本経営とは何かということを振り返り、その上で上記のテーマの重要性について述べていくことにしましょう。
人的資本経営の内容と、ライフステージや特性を捉えた施策の重要性
人的資本経営とは何なのでしょうか。人的資本経営のメディアでの記事内容では、経営学的な論述や、上場企業の投資家への開示などの論調が目立つのですが、それは人的資本経営の機能のひとつであると考えられます。人的資本経営の本質は極めてシンプルだと考えられます。「現代の企業における人材戦略上の重要な内容(=人的資本)を捉え、課題設定と解決を経営の基軸とし、働きやすく成長する企業をつくる、かつ、それを制度的義務や経営目的に応じて開示する」というものです。
人的資本となる内容にも国際的な枠組みや国内の制度でだいたい共通の理解があり、育成とスキル・働く方のやる気や当事者意識の測定(エンゲージメント)・多様な働き方の促進(ダイバーシティ)・コンプライアンス・健康安全・労働慣行・報酬と生産性などです。
各企業でこうした課題はそれぞれ違うため、「人的資本可視化指針」などといった資料でも、まずは各企業で自社の経営戦略との繋がりのもとに人材戦略を定め、どういった項目を重視するかは原則的には任意であるとされています。以上について簡単に図示します。
この図の右側にあるような「人的資本」の指標・マテリアリティごとに現状と課題を特定し、俯瞰して人材戦略を決定し、実行してさらに改善していくことが人的資本経営の中心となる実務となります。これを行いやすくするために、筆者は「人的資本経営課題整理ツール」を事務所のWEBサイトで無料配布しています。
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筆者:松井 勇策 社会保険労務士・公認心理師・認定 AI ジェネラリスト
フォレストコンサルティング経営人事フォーラム代表 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授(専門領域:人的資本経営論等) (一社)人間能力開発機構 評議員 人的資本経営検定試験委員長(関連資格)GRI スタンダード国際認定・ISO30414 アセッサー 東京都社労士会 先進人事経営検討会議 議長 名古屋大学法学部卒業後、株式会社リクルートにて組織人事コンサルティング、のち経営管理部門で法務・IT マ ネジメント・東証一部(当時)の上場監査等を行う。社労士・公認心理師の資格取得後に独立。人的資本経営の情報発信やコンサルティング・成長企業のIPO労務監査等を多く実施、ほか適性検査やエンゲージメントサーベイなどHR 関係商品の開発顧問、HR 関係メディア制作顧問等も複数行っている。
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