エンジニア採用 ピックアップ 公開日:2024/04/03 更新日:2024/04/02

ジョブ型雇用って本当に進む?従来型と比べたメリット・デメリット

ジョブ型雇用とは、職務遂行に必要なスキルのある人を採用する雇用方式を指します。 当記事では、ジョブ型雇用のメリット、実際の成功事例や、ジョブ型雇用の導入方法について、お伝えします。


「ジョブ型雇用」とは?

職務遂行に必要なスキルのある人を採用する「ジョブ型雇用」

ジョブ型雇用とは、従来の年功序列や終身雇用とは異なる、職務内容やその遂行に必要なスキルに焦点を当てた雇用形態です。企業は特定の仕事やプロジェクトを遂行するために、その職務を最も効果的に果たすことができるスキルや経験を持った人材を求めます。

この雇用形態では、従業員が持つスキルや能力、実績が重視され、その人が会社に入社してからどれだけの時間が経過したかや、年齢などの要素は採用の基準としてあまり考慮されません。ジョブ型雇用では、個々の職務に対して明確な期待が設定され、従業員はその期待に応えることが求められます。

このアプローチは、企業が変化する市場のニーズに迅速に対応するための柔軟性を提供し、従業員には自身のスキルを活かし、キャリアを積極的に形成していく機会を与えます。また、効率的で成果に基づいた職場環境を促進し、個人の能力と貢献に応じた報酬や昇進の機会が提供されるため、モチベーションの向上にもつながります。

日本で従来行われてきたのは「メンバーシップ型雇用」

日本において長らく主流を占めていた雇用形態は、「メンバーシップ型雇用」と呼ばれます。このシステムでは、企業は従業員をその潜在能力や学歴、人物像など、比較的抽象的な基準に基づいて採用し、組織の一員としての適応性や成長潜在力を重視します。採用された従業員は、企業内で多様な業務を経験し、長期にわたって能力を開発していくことが期待され、これにより従業員と企業の間に強い絆が生まれ、終身雇用や年功序列といった特徴を持つ雇用関係が形成されました。

このメンバーシップ型雇用は、安定した雇用を提供し、従業員の長期的なキャリア形成を支える一方で、市場の変化や技術革新に対する柔軟性が低く、組織内の人材の適材適所への配置が難しいという課題を抱えています。また、能力や実績よりも在籍年数が報酬や昇進に大きく影響するため、モチベーションの低下や能力の最大限の活用が難しいという問題も指摘されてきました。

これに対し、ジョブ型雇用は職務遂行に必要なスキルや成果に焦点を当て、個々の従業員の能力と貢献を明確に評価することで、より効率的で柔軟な人材管理を目指しています。日本でも、グローバルな競争力を強化し、迅速に市場の変化に対応するために、徐々にジョブ型雇用への移行が進められています。

「ジョブ型雇用」が近年注目されるようになったワケ

コロナ禍による働き方の変化

近年、ジョブ型雇用への関心が高まった背景には、コロナ禍による働き方の大幅な変化があります。パンデミックは、企業にとって未曽有の危機をもたらしましたが、同時に働き方を見直すきっかけともなりました。リモートワークの普及は、物理的な出社が必ずしも仕事をする上で不可欠ではないことを示し、従業員がどこにいても成果を出せる可能性を広げました。この変化は、従業員が持つスキルや成果の具体的な貢献に焦点を当てるジョブ型雇用の理念と相性が良いとされます。

ジョブ型雇用では、個々の職務に対する明確な期待が設定され、従業員はそれに基づいて評価されます。コロナ禍による働き方の自由化は、このような成果主義的なアプローチを取りやすくしました。リモートワークが可能になったことで、仕事と私生活のバランスを重視する従業員が増え、これに伴い企業も柔軟な働き方を受け入れざるを得なくなりました。その結果、従来の時間に縛られる働き方から、成果やスキルに基づく評価が重視される方向へとシフトしています。

また、パンデミックはデジタル化の加速を促し、新たなスキルや専門知識が求められるようになりました。このような環境下では、迅速に適切なスキルセットを持った人材を確保し、活用することが企業の生存と成長に直結します。ジョブ型雇用は、このような変化するビジネス環境において、企業が柔軟に人材を配置し、効果的に活用するための枠組みを提供するため、ますます注目されるようになりました。

経団連の提言

ジョブ型雇用への注目が高まる一因として、経済団体連合会(経団連)の提言が挙げられます。経団連は、日本の企業や労働市場が直面する課題に対応し、国際競争力を強化するために、従来のメンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への移行を推奨しています。この提言は、急速な技術進化、グローバル競争の激化、働き方の多様化など、変化するビジネス環境に対応するための戦略の一環として位置づけられています。

経団連は、ジョブ型雇用を通じて、個々の職務において明確な役割と責任を設定し、従業員がその役割を果たすために必要なスキルや知識を習得し、評価されるべきであると主張しています。このアプローチにより、従業員は自身のキャリアパスをより明確にし、自律的にスキルアップを図ることができ、企業は適材適所の人材配置を実現し、効率的な人材育成と運用が可能になるとされています。

また、経団連の提言は、従業員のモチベーション向上や働きがいの創出、企業文化の革新にも寄与するとしています。ジョブ型雇用の導入により、成果主義を基盤とした公平な評価制度やキャリア形成の支援が強化され、従業員の能力や貢献が正当に評価されることで、よりダイナミックで活力ある職場環境が育成されると期待されています。

大手企業がジョブ型雇用へ動いている

近年、大手企業がジョブ型雇用へと移行する動きが加速しています。この背後には、国際競争力を高めるために専門性の高い人材を採用する必要性が強く影響しています。グローバル市場では、技術の進歩が著しく、消費者のニーズも日々変化しています。このような環境下では、迅速な意思決定と効率的な業務遂行が求められ、それには各分野で高度な専門知識を有する人材が不可欠です。

大手企業は、この要求に応えるため、従来のメンバーシップ型雇用から転換し、具体的な職務に対して最適なスキルセットを持つ人材を積極的に採用するジョブ型雇用を取り入れています。この雇用形態では、職務の内容と必要とされる能力が明確に定義され、採用から評価、昇進に至るまでのプロセスがその職務に対する貢献度に基づいて行われます。このアプローチにより、企業は特定のプロジェクトや課題解決に必要な専門性を持つ人材を効率的に確保し、活用することが可能となります。

また、ジョブ型雇用によって、企業は国際的な人材の獲得も視野に入れやすくなります。世界中から最適な人材を集めることで、多様な視点を持ち込み、イノベーションを促進することができます。このように、ジョブ型雇用は、企業がグローバル市場で競争力を持続的に強化していくための重要な戦略の一つとなっています。

専門性の高い人材を採用することで、企業はその知識と技術を活用し、新たな価値を創造することができます。これは、結果として企業の成長に直結し、グローバルな競争において優位性を確保するための鍵となるのです。大手企業がジョブ型雇用に動いているのは、このような背景から、より専門性の高い人材を確保し、国際競争力を上げるための必然的な選択といえるでしょう。

採用難のなかで、多様な人材を受け入れるため

近年、ジョブ型雇用への関心が高まっている理由の一つに、採用難の中で多様な人材を受け入れる必要性があります。人口減少や高度な技術スキル要求の増加により、企業は従来の採用基準だけでは十分な人材を確保することが難しくなっています。このような状況の中、ジョブ型雇用は、企業にとって多様なバックグラウンドやスキルセットを持つ人材を受け入れ、活用するための柔軟な枠組みを提供します。

ジョブ型雇用では、特定の職務に必要なスキルや能力に焦点を当てるため、従来の採用プロセスでは見過ごされがちな非典型的なキャリアパスを持つ候補者や、異業種からの転職者でも、その能力が仕事に直接貢献する場合は積極的に採用されます。これにより、企業はより広い範囲から人材を探求し、特定の職務に最適な個人を見つけ出すことができます。

また、ジョブ型雇用は、働き手にとってもキャリアの選択肢を広げることに貢献します。自身のスキルや専門知識を最大限に活かせる職務を選択できるため、個人の満足度やモチベーションの向上につながります。このように、多様な人材の受け入れを容易にするジョブ型雇用は、企業と従業員双方にメリットをもたらし、採用市場の変化に柔軟に対応するための重要な手段となっています。

採用難の問題を解決し、多様な才能を組織内に取り込むことは、企業がイノベーションを生み出し、競争力を維持する上で欠かせない要素です。ジョブ型雇用によって、企業は固定観念にとらわれず、広い視野で人材を探求し、活用することが可能になり、これが近年の注目の一因となっています。

ジョブ型雇用のメリット

職務内容に合ったスキルのある人材を採用できる

ジョブ型雇用の最大のメリットの一つは、職務内容に合ったスキルを持つ人材を採用できることにあります。この雇用形態では、具体的な職務やプロジェクトに必要なスキルや経験を明確に定義し、それに最も適合する能力を持つ候補者を選抜することに重点を置きます。このアプローチにより、企業は即戦力となる人材を確保し、業務の効率化と生産性の向上を実現することが可能になります。

従来のメンバーシップ型雇用では、個人のポテンシャルや組織への適合性を評価することが一般的でしたが、ジョブ型雇用では、実際の業務遂行に直接貢献する具体的なスキルや成果が評価の中心となります。これにより、企業は新たなプロジェクトや技術革新に迅速に対応するための専門知識を持った人材を、より効果的に見つけ出し、活用することができます。

また、このような採用方法は、個々の職務における明確な役割と責任の理解を深め、従業員自身が自己のスキルとキャリアパスについて積極的に考え、発展させる機会を提供します。従業員が自らの専門性を磨き、専門知識を活かすことで、企業全体の競争力の向上にも寄与することが期待されます。

さらに、職務内容に合ったスキルのある人材を採用することは、企業文化の革新にも繋がります。多様なバックグラウンドを持つ専門家たちが集まることで、異なる視点や新しいアイデアが生まれやすくなり、イノベーションの促進に寄与します。このように、ジョブ型雇用は企業が競争力を保持し、市場の変化に柔軟に対応する上で、重要な戦略となっています。

業務の成果に応じた評価を出しやすい

ジョブ型雇用の大きなメリットの一つは、業務の成果に応じた評価が出しやすい点にあります。この雇用形態では、各従業員が担当する職務の範囲と目標が明確に設定されており、その達成度合いに基づいて評価が行われます。これは、従業員にとって自分のスキルや努力が直接評価に繋がるため、大きなモチベーションとなります。

ジョブ型雇用では、個々の業務遂行能力と成果が重視されるため、従業員は自己のスキルアップや職務遂行に向けた努力が明確に認められることを実感しやすくなります。この透明性は、従業員が自らのキャリア開発やスキル向上に対して能動的に取り組む動機付けとなり、個人の成長だけでなく、組織全体の発展にも寄与します。

また、成果に基づく評価システムは、従業員が自身の強みを生かし、さらには新たな能力を開発するきっかけを提供します。従業員が新しいスキルを習得したり、既存の能力を高めたりすることは、その人の評価上昇に直結します。これにより、従業員は自分自身の価値を高めるための具体的な目標を持つことができ、日々の業務においてもより高い成果を目指すモチベーションに繋がります。

さらに、この評価システムは公平性を保つ上でも有効です。職務の成果に応じた評価は、個人の成果と直接リンクしているため、不公平感を感じることなく、自身の成長を正当に評価されると感じることができます。これは、従業員の満足度向上にも寄与し、結果として企業の離職率低下や人材の定着率向上にもつながるでしょう。ジョブ型雇用による成果主義の評価システムは、従業員のモチベーションの向上、個人のスキルアップ、そして組織全体の生産性の向上へと繋がる、非常に効果的なメカニズムを提供します。

リモートワークとの相性がいい

ジョブ型雇用とリモートワークは、互いに補完し合う関係にあり、その相性の良さは多くの企業での働き方改革において明らかになっています。ジョブ型雇用は、具体的な職務内容とその達成に必要なスキルに焦点を当てる雇用形態です。このアプローチは、物理的な勤務地に依存しないリモートワークと自然に調和します。なぜなら、リモートワークの成功は従業員が自立してタスクを管理し、期待される成果を出せるかにかかっているからです。

リモートワークを導入する際、企業は従業員がどこにいても効率的に業務を遂行できるようにする必要があります。ジョブ型雇用は、この点で大きな利点を提供します。職務内容と求められる成果が明確に定義されているため、従業員は自宅や他のリモートの場所からでも、その目標を達成するために何をすべきかを正確に理解し、自律的に作業を進めることができます。これにより、リモートワークにおける自己管理能力の重要性が増し、従業員は自分の時間をより効率的に管理し、生産性を高めることができます。

また、ジョブ型雇用による明確な目標設定は、遠隔地からのコミュニケーションでも、従業員と上司の間で期待値を共有しやすくする助けとなります。これにより、リモートワーク環境下でも、成果の評価やフィードバックがスムーズに行われ、従業員のモチベーションの維持と向上に寄与します。

リモートワークとジョブ型雇用の組み合わせは、従業員が自らのスキルセットを最大限に活かしながら、柔軟な働き方を実現することを可能にします。このように、ジョブ型雇用はリモートワークとの相性が良く、現代の働き方の多様化に対応するための効果的な雇用形態と言えるでしょう。

ジョブ型雇用のデメリット

メンバーシップ型雇用と比べると流動的な対応が困難

ジョブ型雇用は、職務内容に合わせたスキルを持つ人材を採用する利点がある一方で、メンバーシップ型雇用と比較した際に見られるデメリットの一つに、流動的な対応が困難である点が挙げられます。メンバーシップ型雇用では、従業員は組織の一員として幅広い業務に対応する柔軟性を持ち、時間をかけて多様なスキルを身につけることが期待されます。これに対し、ジョブ型雇用では従業員が特定の職務やプロジェクトに特化して働くため、それぞれの職務に最適なスキルセットを持つ人材を配置することが重視されます。

この特化したアプローチは、企業が迅速に特定の専門知識を必要とする場合には非常に有効ですが、市場の変化や業務の急な変更に対して柔軟に対応することが難しくなる可能性があります。例えば、新たなプロジェクトや予期せぬ課題が発生した際に、従業員がその特定の職務以外の業務に対応する能力が限定されていると、組織全体としての対応速度や効率が低下する恐れがあります。

また、ジョブ型雇用では、職務の変更やキャリアパスの転換が必要になった場合、従業員が新しいスキルを習得するための時間やリソースが必要となります。これは、組織が変化に対して迅速に適応する能力に影響を及ぼし、特に変化の激しい業界では大きな課題となる可能性があります。

従って、ジョブ型雇用の採用は、企業が特定のスキルを必要とする明確な職務に対しては非常に効果的ですが、業務内容や市場環境の変化に対する柔軟な対応を求められる状況では、メンバーシップ型雇用の方が適している場合があります。企業はこのようなデメリットを理解し、雇用形態を選択する際には、組織のニーズと将来の方向性を総合的に考慮することが重要です。

早期に転職されてしまうリスクがある

ジョブ型雇用の導入は、特定のスキルセットを持つ人材を正確に評価し、採用することで企業の成果を最大化することを目指しています。しかし、この雇用形態には、従業員が早期に転職するリスクも伴います。その主な理由の一つは、従業員が自分のスキルや貢献が他社でより高く評価されると感じた場合、転職を考える傾向にあるからです。

ジョブ型雇用では、個々の職務に対する具体的なスキルや成果が明確に評価され、それに基づいて報酬やキャリアの機会が提供されます。このシステムは、従業員にとって自身の能力を正当に評価される大きな機会を提供しますが、同時に、自分のスキルセットに対する市場価値をより意識するようになります。その結果、より良い条件や自分の能力を高く評価してくれる他の企業があれば、転職を検討する動機が強くなります。

この傾向は、特に専門性の高いスキルを持つ従業員において顕著です。彼らは自身のスキルが希少であり、高い需要があることを認識しており、キャリアの進展や報酬の向上を求めて積極的に転職市場を探る傾向があります。このように、ジョブ型雇用は従業員が自己のキャリアを主体的にコントロールすることを促す一方で、企業にとっては優秀な人材を維持するための追加的な課題を生じさせることになります。

企業がこのリスクを管理するためには、従業員のキャリア成長やスキルアップの機会を積極的に提供し、彼らの貢献を公平に評価し、適正な報酬を提供する必要があります。また、職場の環境や企業文化を充実させ、従業員が長期的に働きたいと感じる職場を作ることが重要です。これにより、従業員の満足度を高め、早期の転職を防ぐことができるでしょう。

社員の評価方法や待遇について根本から見直す必要が生じる

ジョブ型雇用への移行は、従来のメンバーシップ型雇用に比べ、企業における社員の評価方法や待遇に関する根本的な見直しを必要とします。この変更は、単に新しい採用ポリシーを導入する以上の深い変革を伴うため、組織全体に大きな影響を与えます。

ジョブ型雇用では、個々の職務に対して具体的なスキルセットと成果を重視するため、従業員を評価する基準が従来の年齢や勤続年数ではなく、達成した業務の成果や貢献度に基づくものに変わります。これは、評価システムや報酬体系、キャリアパスの設計など、人事管理のあらゆる側面での大幅な見直しを要求します。企業は、個々の職務遂行能力や成果に応じて公平かつ透明性のある評価システムを開発し、それに基づく報酬体系を構築する必要があります。

また、この変革は、従業員のモチベーションや企業文化にも大きな影響を及ぼす可能性があります。従業員には、自己のスキル開発と職務遂行に対する明確な目標が設定され、それを基に評価されるため、自己成長に対する動機づけが強化されます。一方で、個々の成果を重視する文化は、チームワークや組織内の協力関係に影響を与える可能性もあるため、バランスの取れたアプローチが求められます。

さらに、ジョブ型雇用への移行には、従業員への十分な説明と教育、そして期待管理が不可欠です。従業員が新しい評価基準やキャリアの進め方を理解し、受け入れるためには、透明性の高いコミュニケーションが重要になります。

このように、ジョブ型雇用への移行は、企業にとって多くの挑戦を伴いますが、これらを適切に管理することで、よりフレキシブルで成果に基づいた組織を構築することが可能となります。

ジョブ型雇用を導入するためのステップ

ジョブ型雇用を行う職種を決める

ジョブ型雇用を導入する際の重要なステップの一つは、ジョブ型雇用を行う職種を決定することです。このプロセスは、企業がどの職務に特化したスキルや専門知識が必要であるかを明確にし、組織内でのジョブ型雇用の適用範囲を特定することを意味します。適切な職種の選定は、ジョブ型雇用の成功に直結し、企業の戦略的目標達成において重要な役割を果たします。

まず、企業はその業務プロセスやプロジェクトの特性を分析し、どの職務が特定のスキルや専門性を必要としているかを評価する必要があります。特に、技術的な知識や高度な専門スキルが求められる職種や、ビジネスの成長領域に関わるポジションは、ジョブ型雇用に適している可能性が高いです。これらの職種は、明確に定義された職務内容と成果指標を設定しやすく、従業員のスキルセットと成果に基づいて評価することが可能です。

また、ジョブ型雇用を行う職種を決定する際には、組織の将来的な方向性や戦略的目標も考慮することが重要です。市場のニーズや技術の進化に合わせて、必要とされるスキルが変化する可能性があるため、柔軟性を持って職種の見直しを行うことが求められます。

ジョブ型雇用を行う職種を決定するプロセスは、企業が変化するビジネス環境に対応し、競争力を維持する上での重要なステップです。このステップを慎重に実行することで、企業は適切な人材を確保し、組織の成長と成功を促進することができます。

ジョブディスクリプション(職務記述書)を作成する

ジョブ型雇用を成功させるためには、ジョブディスクリプション(職務記述書)の作成が重要なステップです。ジョブディスクリプションは、職務の範囲、責任、必要なスキルや資格、業務遂行に関する期待などを詳細に記載した文書であり、職務に対する明確な理解と期待の共有を企業と従業員の間で促します。このプロセスは、採用、評価、報酬決定の基盤となり、組織の目標達成に直結する人材を確保する上で不可欠です。

ジョブディスクリプションの作成は、まず、職務の目的を明確に定義することから始めます。これには、その職務が組織内でどのような役割を果たし、どのような成果をもたらすべきかを具体的に記述します。次に、職務を遂行する上で必要となる具体的なスキル、経験、知識などの要件を特定し、これらが職務遂行にどのように寄与するかを記載します。

さらに、ジョブディスクリプションには、職務に関連する主要な業務内容や責任領域をリストアップし、期待される成果や成果達成のための具体的な指標も定義します。この過程で、関連する業務プロセスや協力が必要な他部門との関係性についても触れることが重要です。

ジョブディスクリプションの作成に当たっては、現場の従業員やマネージャーのフィードバックを取り入れ、実際の業務内容や職務遂行に必要なスキルが正確に反映されていることを確認することが重要です。これにより、職務記述書の実用性と精度を高めることができます。

ジョブディスクリプションは、採用プロセスだけでなく、従業員のパフォーマンス管理やキャリア開発のガイドラインとしても機能します。そのため、定期的な見直しと更新が必要となり、組織の変化や業務の進化に応じて内容を適宜調整することが求められます。

ジョブディスクリプションをふまえて職務の価値を算定する

ジョブ型雇用を導入する過程でジョブディスクリプションを基に職務の価値を算定するステップは、組織における各職務の相対的な重要性を定量化し、それに基づいて適切な報酬体系を設計する上で重要です。このプロセスは、職務の範囲、その職務に必要なスキルや資格、責任の度合い、そしてその職務が組織全体の目標達成にどれだけ貢献するかを評価することを含みます。

職務の価値を算定することにより、企業は公平かつ競争力のある報酬体系を確立することができます。これには、同業界内での相対的な給与水準、職務の難易度、必要とされる専門知識のレベルなど、外部市場のデータも考慮に入れることが含まれます。また、この評価は、従業員の動機付けや満足度を高め、組織へのロイヤリティを促進するためにも役立ちます。

具体的には、職務評価の過程で、職務を成果指標、責任の範囲、影響度、専門性などの複数の要素で分析します。これらの次元は職務の複雑さや重要性を反映し、それぞれの職務に点数や等級を割り当てることにより、職務の価値を数値化します。この数値化された評価をもとに、職務ごとに適切な給与レベル、昇進の機会、その他の報酬要素を決定します。

職務の価値算定は、従業員がその職務における自身の役割と、それが組織全体に与える影響を理解するのにも役立ちます。また、このプロセスを通じて、組織は人材をより効率的に、そして戦略的に管理することが可能となり、企業文化の透明性と公正性を向上させることができます。

職務の価値を適切に算定し、それに基づく報酬体系を構築することは、ジョブ型雇用を成功させるための鍵です。これにより、企業は優秀な人材を引き付け、維持し、最終的には組織全体のパフォーマンスと競争力を高めることができます。

職務価値をもとに賃金を紐づける

ジョブ型雇用を導入する過程で職務の価値をもとに賃金を紐づけるステップは、企業が公平性と競争力を持った報酬体系を構築する上で極めて重要です。このプロセスでは、事前に算定された職務の価値を基準として、各職務に対する適切な賃金レベルを定めます。職務の価値は、その職務の責任範囲、必要とされるスキルや専門知識のレベル、職務遂行が組織の目標に与える影響などによって評価されます。

賃金を職務の価値に紐づけることで、企業は各職務が持つ本質的な重要性を反映した報酬を提供することが可能になります。これは、従業員に対してその業務遂行の成果と貢献度が正当に評価されるという信頼感を与え、モチベーションの向上と組織へのコミットメントを促進します。

このプロセスにおいては、市場調査も重要な役割を果たします。同業界内や地域における同等の職務の平均賃金を調査し、それを参考にして自社の職務ごとの賃金レベルを設定することで、企業は業界内での競争力を保ちつつ、優秀な人材を引き付けることができます。また、賃金設定にあたっては、企業の財務状況や将来の経済的予測も考慮する必要があります。

賃金体系を職務の価値に紐づけることのもう一つの利点は、透明性と公平性を確保できる点にあります。従業員は自分の職務の価値とそれに対応する賃金がどのように決定されたかを理解しやすく、報酬の差に対する理由が明確になります。これは、組織内での不満や不公平感を軽減し、全体の職場の満足度を高めることに寄与します。

職務の価値に基づいて賃金を紐づけることは、組織の報酬体系を戦略的に管理し、持続可能な成長を促進する上で重要な手段です。このアプローチにより、企業は公平で透明性のある方法で従業員を評価し、報酬を提供することができるのです。

ジョブディスクリプションも職務価値も、状況に応じて見直していく

ジョブ型雇用を導入し、効果的に運用するためには、ジョブディスクリプションや職務の価値を定期的に見直し、状況の変化に応じて更新することが不可欠です。ビジネス環境は常に変化しており、新しい技術の導入、市場の需要の変化、組織の戦略的な方向性の転換など、様々な要因が職務の内容やその価値に影響を与えます。これらの変化に柔軟に対応し、企業が競争力を維持し続けるためには、ジョブディスクリプションと職務価値の見直しが重要になります。

ジョブディスクリプションの見直しには、職務内容の更新、必要なスキルや資格の変更、業務遂行に関する期待の調整などが含まれます。このプロセスを通じて、各職務が現在の組織の目標や市場の状況に適合しているかを確認し、必要に応じて調整します。これにより、従業員が自身の職務に関する明確な指針を持ち、効率的かつ効果的に業務を遂行できるようになります。

職務の価値の見直しは、職務の重要性や企業内での位置づけ、報酬体系との連携を評価する過程です。市場の変化により特定のスキルがより高く評価されるようになったり、新しい業務が追加されたりすることで、職務の価値が変動する可能性があります。定期的な見直しにより、企業は職務の価値を現在の市場状況や組織のニーズに合わせて適切に反映させることができます。

このような見直しプロセスは、組織と従業員の双方にとって利益をもたらします。企業は常に最適な人材を職務に配置し、最大限の成果を得ることができます。一方で、従業員は自らのスキルとキャリアの成長を企業の目標と連携させ、動機づけと満足感を高めることができます。結果として、ジョブディスクリプションと職務価値の定期的な見直しは、組織の柔軟性、適応性、全体のパフォーマンスを高める重要な要素となります。

まとめ

ジョブ型雇用は、特定の職務に必要なスキルや能力に基づいて人材を採用し、評価する雇用形態であり、進化するビジネス環境に対応するために注目されています。従来型のメンバーシップ型雇用と比べ、ジョブ型雇用のメリットは、企業が必要とする専門スキルを持つ人材を迅速に確保できること、成果に基づいた公平な評価と報酬が可能になることです。これにより、従業員のモチベーション向上と個人のキャリア成長を促進します。

一方で、デメリットとしては、職務内容やスキルの変化に柔軟に対応することが難しくなり、企業と従業員間の長期的な関係構築が困難になることが挙げられます。また、従業員が自分のスキルがより評価される場を求めて転職をしやすくなる可能性があります。

これらのメリット・デメリットを踏まえると、ジョブ型雇用は、特定の状況や業種において大きな利点をもたらすものの、採用する際には組織のニーズや文化との適合性を慎重に検討する必要があります。


特定のスキルセットを持つ人材の採用に関するお問い合わせはこちらから▶

採用業務を改善したいけど、何からすればいいか、わからない。
ナンバーズは人事・採用の課題をトータルサポート!まずは私たちにご相談ください。





本コラムで取り上げている企業課題に関するご相談や、
弊社サービスに関するご質問などがございましたら、お気軽にお問い合わせください。




▼お客様の採用課題を解決するナンバーズのRPO「採用業務最適化サービス」

▼お客様のあらゆるコール業務に対応するナンバーズのBPO「コールセンターサービス」

▼就職活動課題を解決するナンバーズの大学生向け就活支援「自力をつける就活プロジェクト」

▼人材紹介をフル活用して採用活動を最適化するナンバーズのANS「母集団形成の最大化サービス」

筆者:ナンバーズ株式会社

採用コンサルティングや、実務支援である RPO を年間 500 社以上の顧客に提供しています。年間採用規模1,000名を超える採用から、5名の厳選採用まで、最適な採用戦略策定・オペレーションを提供いたします。当社の「最高のCX(Candidate Experience:応募者体験)を追求する」という独自のメソッドで採用成功まで徹底伴走いたします。

約3分で採用活動課題を明確化!NUMBERZ 採用力診断

  • 自社の採用方法が
    最適なものなのか確かめたい
  • 昨年度採用の振り返り、
    採用施策の検討ができていない
  • 採用がうまくいっていないと感じるが、改善点が分からない

様々な採用課題の解決策をご提案いたします。